【書評】綾辻行人『十角館の殺人』の要約と考察/その1行は事件を解決に導く
ある日、建築家 中村青司の幽霊が出ると聞きつけ、大学のミステリ研に所属する青年たちが孤島に訪れた。その孤島の名は"角島"。かつて凄惨な事件が起きた現場だ。S半島J崎沖、角島の中村青司邸、通称青屋敷が炎上、そして全焼。焼け跡から、中村青司と妻の和江、住み込みの使用人夫婦の計4人が死体で発見された。4人の死因は一様ではなく、加えて和江夫人の左手首から先は見つからなかった。青年たちは角島にある中島青司が設計した十角形の建築『十角館』に滞在し、かつて孤島で起きた事件の推理に勤しむ。彼らはお互いを著名なミステリ作家のあだ名で呼び合い、暫く孤島での生活を楽しんでいたが、やがて、一人、また一人と青年たちは殺されていく。その殺され方は、かつてこの島で起きた凄惨な事件の概要と似通っていた。また孤島での事件が起きる同時刻、元ミス研江南考明の元に、とある怪文書が届く。しかもどうやら、その怪文書はかつての孤島での噂と関係があるらしい。江南は同じくミス研のメンバーである森須と、ふとしたきっかけで出会った島田潔という青年と共に、事件の真相を探る為奔走する。果たして犯人は誰なのか、事件の動機は何か、そして