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芸術

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【書評】谷崎潤一郎『陰翳礼讃』の要約と考察/日本の美学の底には「暗がり」と「翳り」がある

陰翳とは、“薄暗い影”、”覆われて見えないところ”の意。転じて『陰翳礼讃』とは、「日本の建築空間や伝統的な物品、生活様式とは、陰翳から成り立つ美しさなのである」という主張を谷崎自身があらゆる面から見つめなおし、礼讃した評論です。日本家屋は、日本の厳しい自然から身を守るために深い庇をつくり、豊かな風景と共に生きるために、自在に外と中を入れ替える障子扉、風景を切り取る窓をつくりました。その結果つくり出されたのは【陰翳】であり、日本人はそんな日本家屋で、【陰翳】と共に生きてきました。これは、西洋の建築のような、光を最大限取り込む石造りの丈夫な建物とは大きく様相が異なります。どちらかが良いというわけではなく、お互い当時の自然環境や情勢がそうさせたのです。我々日本人の先祖は、【陰翳】とともに住むことを余儀なくされ、その結果、いつしか【陰翳】の内に美を発見しました。蠟燭の光が行燈に透けてゆらゆらと揺らめく。それが畳や焦茶の木の柱、天井に反射し、床の間の掛け軸や飾物をしっとりと映し出す。格子窓から差し込む光、木漏れ日のように室内に落ちる日の光によって、艶と煌めく陶器の器。日本の建築、物品は、全ての良さが呼応するように計算しつくされた総合芸術なのです。
歴史

【要約】松田亜有子『クラシック音楽全史』 /クラシック音楽史を年表で解説。時代の変遷、代表的な音楽家まで

クラシックに多く触れる機会があったので、ざっくりと音楽知識を学ぶために西洋音楽史をまとめてみました。参考図書は『クラシック音楽全史』松田亜有子・著。本書は、クラシック音楽を楽しむために知っておくと良い知識、音楽の発展の歴史やその時代背景、作曲家の功績等を十分に学べる書でした。音楽史の入門書としておすすめできます。下記に本書から学んだ内容を年表にしてみました。古代:音楽の起源音楽は、自然の音から着想を得て、言語の持つ音韻から派生して生まれました。音楽の起源としては、最古の文明:メソポタミア文明まで遡ります。その遺跡からはハープや笛、太鼓等を奏でる人々の姿のレリーフが残されています。 紀元前520年頃、ピタゴラスによって初の音楽理論が提唱されます。これには現代まで繋がる「ドレミファソラシド」の発明が描かれていました。
芸術

【書評】中野京子『異形のものたち』の要約と考察/絵画のなかの「怪」を読む

本書『異形のものたち』では、尋常ならざる形態に魅入られた画家たちによる欲求を、美麗な絵画の解説とともに紹介してくれます。この世にないものに対する「見たい」という好奇心、曰く言い難い気配や雰囲気の絵画的創出、本書は、そんな「怪」を、人獣、蛇、悪魔と天使、キメラ、ただならぬ気配、妖精・魔女、魑魅魍魎のキーワードをもとに語っています。しかし、「異形」を画題にした絵画と聞くとどこか物珍しく感じるかと思いますが、古来から伝わる神話や宗教では、当然のように「異形」は登場します。そう考えると、「異形」とはそもそも物珍しいものなどではなく、人間心理の根底では情念の対象なのでしょう。古今東西異形フェチには本書を是非おすすめします。
歴史

【書評】中野京子『印象派で「近代」を読む』の要約と考察/光のモネから、ゴッホの闇へ

印象派について、どんな”イメージ”を持っているでしょうか。やわらかい色彩、まるで光を映したのかというように明るく、自在で魅力的なタッチ。多くの共通認識はこうでしょう。しかし本書を読むと、その認識は少なからず覆されます。印象派の時代印象派を語るうえで外せないもの、それは時代です。印象派は現代ではごく当たり前に受け入れられ、世界中で愛好されていますが、19世紀後半のパリではそうではありませんでした。批評家からは皮肉交じりに酷評され、一般的な認識としては嘲りの対象でした。それも、かつてのパリの絵画の常識を考えれば納得は出来ます。当時は新古典主義の考え方が浸透しており、神話や重厚な歴史をテーマに描かれていました。粗のないきめ細かな仕上げ、写実的なデッサンによる美しさ、安定した構成が重要視されていました。それは印象派が掲げる技法や構図とは正反対のものだったのです。印象派とは、穏やかなイメージとは異なる、ある種の反逆性を秘めているのです。本書『印象派で「近代」を読む』は、印象派絵画の解説とともに、その時代背景においても深く言及されています。著者は本文中でこう語っています。
ミステリ

【書評】原田マハ『楽園のカンヴァス』の要約と考察/絵を見る、ということ

もしも自らの大切な人が不治の病を患っていて、それを治す治療法が見つかったとしたら、あなたはどうするのでしょうか。多くの人は、その治療法に希望を託し、大切な人を助けようとするでしょう。どんな治療法でもいい、たとえ一縷の希望であっても、出来ることは全て試すのでしょう。それが大切な人の為になるのなら。この物語の両親もそうでした。虚弱児として生まれた主人公ちひろ。両親はちひろの為に病院を駆け巡り、治療法を探します。しかし、中々治療法は見つからず、ただ日々は過ぎていきます。
芸術

【書評】飯島都陽子『魔女のシークレット・ガーデン』の要約と考察/自然が彼女たちを魔女にした

魔女、と聞いて、あなたはどんな人物像を想像するでしょうか。鉤鼻で黒い長衣をまとい、何やら怪しげな鍋をかき回し恐ろしい魔術を用いる、邪悪な女性でしょうか。魔女の歴史を辿ると、それは誤解だということが分かります。かつての魔女とは、薬草に長けた現在でいう薬剤師のような、民間療法士だったそうです。人々の病を治すために、今までの経験から知恵を生かし、植物を用いて薬を調合する、植物の四季の動きをはかるために、天を眺める。大切な人を守るために、賢い女たちは自然を尊び、森の樹木や草花、生き物たち、過酷な天候を観察し、彼女たちは魔女になっていきました。それは、自然が彼女たちを魔女にした。といっても過言ではありません。この「自然が彼女たちを魔女にした」という一文は、19世紀フランスの歴史家ミシュレによって書かれた『魔女』(ジュール・ミシュレ著 篠田浩一郎訳 現代思潮社)の冒頭に著されているものです。美麗な植物図鑑本書は魔女たちが用いた自然の知識が美麗なイラストとともに描かれています。また、植物の効能、魔女の歴史や物事の由来まで、まるで見習い魔女が上級魔女に直接習っているかのように、わかりやすく記述されています。
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