【書評】桜庭一樹『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』の要約と考察/生き抜けば大人になれたのに
物語冒頭で描かれる、少女のバラバラ遺体。その残酷な事件に向かって、一筋に物語は進んでいく。主要登場人物は2人。2人の主人公は、貧困、虐待と、この世界を生きるには到底厳しい境遇をもつ。しかし彼らは、そんな不幸な現実と戦う。現実に打ち勝つために。生き残るために、“実弾”を手に入れようとする少女、山田なぎさ自らを人魚と名乗り、”砂糖菓子の弾丸”を撃ち続ける少女、海野藻屑二人の出会いから紡がれる、一月程度の物語。彼らは”砂糖菓子の弾丸”を手に、どう生きていくのか。今を生きているという事がどんなに幸せか、考えさせられる作品だ。