【書評】萩原規子『西の善き魔女②秘密の花園』の要約と考察/送り込まれたのは、乙女たちの陰謀渦巻く秘密の園
舞台は「秘密の花園」トーラス女学院へ。トーラス女学院は、表向きは全寮制の厳粛で清らかな女子修道院附属学校。しかしその内情は、一部の特権階級の乙女たちが支配する陰謀渦巻く過酷な環境であった。そんな場所に貴族の行儀作法のお勉強よろしく放り込まれたフィリエルは、女学院を牛耳る生徒会に目を付けられ、悪質な嫌がらせを受ける。生徒会に対抗すべくフィリエルは、女学校の伝統である決闘で勝負を挑むことにしたが――。一巻の雰囲気からがらりと変わり、女学校編へ。『西の善き魔女』は、巻ごとに全く異なる世界観を楽しめるのも魅力の一つだ。二巻では、今後も活躍する人物たちが沢山初登場するが、特別見どころの一つは、フィリエルとルーンの関係の進展だろうか。一巻ではただの幼馴染でしか過ぎなかった彼らが、二巻では仄かな恋愛感情を覚え行動を起こし始める。また二巻ではルーンの女装姿も拝めるのだが、フィリエルがあまりにも勇敢過ぎて、この物語のヒロインはルーンなのではないかと錯覚してしまう。ルーンも男らしさを出そうと頑張ってはいるのだが、フィリエルがかっこよすぎる。この二人の恋愛関係は、お互いがお互いを守ろうと奮闘しているのも良い。