【書評】飯島都陽子『魔女のシークレット・ガーデン』の要約と考察/自然が彼女たちを魔女にした
魔女、と聞いて、あなたはどんな人物像を想像するでしょうか。鉤鼻で黒い長衣をまとい、何やら怪しげな鍋をかき回し恐ろしい魔術を用いる、邪悪な女性でしょうか。魔女の歴史を辿ると、それは誤解だということが分かります。かつての魔女とは、薬草に長けた現在でいう薬剤師のような、民間療法士だったそうです。人々の病を治すために、今までの経験から知恵を生かし、植物を用いて薬を調合する、植物の四季の動きをはかるために、天を眺める。大切な人を守るために、賢い女たちは自然を尊び、森の樹木や草花、生き物たち、過酷な天候を観察し、彼女たちは魔女になっていきました。それは、自然が彼女たちを魔女にした。といっても過言ではありません。この「自然が彼女たちを魔女にした」という一文は、19世紀フランスの歴史家ミシュレによって書かれた『魔女』(ジュール・ミシュレ著 篠田浩一郎訳 現代思潮社)の冒頭に著されているものです。美麗な植物図鑑本書は魔女たちが用いた自然の知識が美麗なイラストとともに描かれています。また、植物の効能、魔女の歴史や物事の由来まで、まるで見習い魔女が上級魔女に直接習っているかのように、わかりやすく記述されています。