【書評】芦沢央『汚れた手をそこで拭かない』の要約と考察/悪いことをしたから悪いことが起きるとは限らないんだよ
あの時の決断が、取り返しのつかない事態に陥る。その決断自体はちょっとしたもの。あの時それを渡さなければ、あの時最後に確認をしたら、あの時早めに報告しておけば、あの時見栄を張ったりしなければ、こんなことにはならなかったのに。心理的な転落を上手く表現した短編集。日常に潜むイヤミスが好きな人におすすめする。作中起こる決断と結末は、現実に誰にでも起こり得ることだろう。もし自分が同じ立場に置かれたら、正しい決断が出来るのだろうか。