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こんにちは、lamです。今回は『汚れた手をそこで拭かない』芦沢央・著についてご紹介します。
内容紹介
本のあらすじ
もうやめて……ミステリはここまで進化した!
第164回直木賞候補作。
(文藝春秋より)
ひたひたと忍び寄る恐怖
ぬるりと変容する日常
話題沸騰の「最恐」ミステリ、待望の文庫化。
閉鎖空間に監禁された
デスゲームの参加者のような切迫感。
──彩瀬まる
平穏に夏休みを終えたい小学校教諭、元不倫相手を見返したい料理研究家……
きっかけはほんの些細な秘密だった。
保身や油断、猜疑心や傲慢。
内部から毒に蝕まれ、
気がつけば取返しのつかない場所に立ち尽くしている自分に気づく。
凶器のように研ぎ澄まされた“取扱い注意”の傑作短編集。
あなたには、あの時の決断が、取り返しのつかない事態に陥った経験はありませんか?
その決断自体はちょっとしたものです。
「あの時それを渡さなければ」
「あの時念のため最後に確認をしておけば」
「あの時早めに報告すれば」
「あの時見栄を張ったりしなければ」
こんなことにはならなかったのに・・・。
本書は、物語の中で沢山の決断が求められます。
物語の主人公たちはその決断に後に後悔し、「あの時こうしておけば」と自らの行いを反省します。
読者はこの物語を読んで、主人公の決断について意見を述べたくなることもあるでしょう。
しかし、物語の中で起こる決断と結末は、現実に誰にでも起こり得ることです。
もし自分が同じ立場に置かれたら、正しい決断が出来るのでしょうか。
本書は心理的な転落を上手く表現した短編集です。
日常に潜むイヤミスが好きな人におすすめします。
こんな人におすすめ
リアリティのある物語が好きな人
イヤミスが好きな人
短い物語でさくっと絶望したい人
著者紹介
著者である芦沢央(あしざわ・よう)さんについて、
1984年東京都出身。2012年『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。2018年『火のないところに煙は』で第7回静岡書店大賞を受賞。2020年『汚れた手をそこで拭かない』で第164回直木賞候補、第42回吉川英治文学新人賞候補。その他の小説に、『許されようとは思いません』『悪いものが、来ませんように』『今だけのあの子』『いつかの人質』『貘の耳たぶ』『僕の神さま』等、多数の著書があります。
作風としては、リアルな心理描写に定評があり、後味の悪いイヤミスの書き手としても注目されています。短編や連作形式のミステリを得意としています。
※以下感想・考察。内容についてネタバレを含んでいます。未読の方はご注意下さい。
『汚れた手をそこで拭かない』の感想・考察
本の帯の言葉、「もうやめて」。
まさにそう叫びたくなってしまうような、精神的に突き落とされるような短編集でした。
主人公たちの焦燥感、緊迫感が、まるで自分も体験しているかのように直に伝わってくる良い作品です。
悪いことをしたから悪いことが起きるとは限らないんだよ
タイトルとなっている『汚れた手をそこで拭かない』。
この言葉は作中を通しての1つのテーマとなっています。
日常生活の中で求められた1つの決断、
その決断自体は罪を問われるようなことでも、人として非難されるようなものでもありません。
決断を迫られた当初はなんてことのないただの選択だったはずなのに、
もしそれが間違った決断であったことが分かったとき、
犯してしまったミスはどこで償えばいいのか。
作中の主人公たちは、その償い方も間違えてしまいます。
『汚れた手をそこで拭かない』
取り繕う為に、とっさに適当なところで拭いてしまったから、
最終的にその汚れは広がり、
取り返しのつかない事態に発展してしまうのです。
どの作品も違う良さがありますが、一番好きなのは『埋め合わせ』でした。
手を汚してしまった主人公、秀則の焦りがとてもリアルで呼吸がしづらくなるのに加えて、五木田というモンスターの登場によって起こる展開は予想出来なかったです。驚き。
もしやらかしてしまったら、即座に報告して誠実に謝ることが大事だなと、
身に染みて感じました...。
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