【書評】長野まゆみ『野ばら』の要約と考察/真夏の夜のフェアリー・テール
月彦が迷い込んだのは、現実と夢の狭間の世界。月彦は夢を見ます。その夢が覚めた時、月彦は一体どこにいるのか。いつから夢の中にいて、どこまでが夢の中なのか。何故そこにいるのか。月彦は夢のような世界の中で、銀色と黒蜜糖と出会います。知り合いのようで知らない少年たち。彼らは一体誰なのか。白い野ばらの花弁が降り注ぐ学園では、まるで水に絵の具が溶けていくようにその様相は姿を変えていきます。野ばらの垣根を越えられない猫のように月彦はその世界から出られません。何もかもが夢の中。いつまでも続く、耽美な夢の世界に浸りたい方に是非。