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こんにちは、lamです。今回は『水車館の殺人』綾辻行人・著についてご紹介します。
内容紹介
本のあらすじ
仮面の当主と孤独な美少女が住まう異形の館、水車館。1年前の嵐の夜を悪夢に変えた不可解な惨劇が、今年も繰り返されるのか? 密室から消失した男の謎、そして幻想画家・藤沼一成の遺作「幻影群像」を巡る恐るべき秘密とは……!? 本格ミステリの復権を高らかに謳(うた)った「館」シリーズ第2弾、全面改訂の決定版!
「『十角館』に勝るとも劣らず衝撃的な作品」――有栖川有栖(本書解説より)
(講談社より)
綾辻行人による「館」シリーズ。その第2冊目がこちら『水車館の殺人』です。
本書は過去と現在を行き来する構成が特徴的な作品でした。
都市の喧騒から離れた場所に位置する、水車の音が響き渡る古城のような館
そこに住まうは孤独な仮面の主人と、可憐な少女
静かに暮らす彼らの日々は、ある日終わりを遂げます
それは惨劇の一日
その日は一年に一度、4人の訪問者が現れる日
次々と起こる不可解な事件に、館は恐怖で包まれます
そして現在、
あの日と全く同じ日付の一年後、
あの日と同じように、館には4人の訪問者が現れました
あの日と同じ、
惨劇の一日が、また始まる――
過去と現在の同じ日を行き来して、謎を解き明かす新本格ミステリ
中世の雰囲気を持つ館を舞台に、推理を楽しみたい方に是非おすすめします
こんな人におすすめ
本格ミステリを読みたい人
推理を楽しみたい人
綾辻行人による「館」シリーズ第二作目を読みたい人
著者紹介
著者である綾辻行人(あやつじ・ゆきと)さんについて、
1960年京都府出身。1987年『十角館の殺人』でデビュー。「新本格ミステリ」ムーヴメントの嚆矢となります。1992年に『時計館の殺人』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。2018年には第22回日本ミステリー文学大賞を受賞。その他の小説に、『Another』『霧越邸殺人事件』『どんどん橋、落ちた』『フリークス』『緋色の囁き』『殺人鬼』『眼球綺譚』『深泥丘奇談』『最後の記憶』等、多数の著書があります。
作風としては、物理トリックよりも叙述トリックを得意とし、多くの作品にどんでん返しの構図が見られます。またホラー、幻想文学の影響も色濃く、ミステリー作品においても心象描写の多い叙情的な文体を用いています。
『十角館の殺人』は現在は新装改訂版につき、旧版から大きく加筆修正されています。また2019年に月刊アフタヌーンにてコミカライズされています(全5巻)。
※以下感想・考察。内容についてネタバレを含んでいます。未読の方はご注意下さい。
『水車館の殺人』の感想・考察
【仮面の男】と【美少女】という要素は、今や様々な作品で【アイコン】として用いられますが、
それを象徴する作品の一つとして、本作品『水車館の殺人』は挙げられるのではないでしょうか。
どことなく不気味な雰囲気を持つその【アイコン】は、物語全体の雰囲気を形作り、
古城という舞台も相まって、昔の世界にタイムスリップしたかのような感覚を味わえました。
事件の追想、叙述トリック
本作品の特徴として真っ先に挙げられるのは、現在と過去を行き来するという、その特徴的な構成かと思います。
物語はとある一日と、
そのちょうど一年後の一日が交互に書かれる構成になっています。
ただ交互に書かれるだけではなく、時間帯も大体同じ。
現在時刻の【仮面の男】がまるで過去を追想するかのような雰囲気で、過去の出来事が語られます。
その構成のおかげで、読者もまるで【仮面の男】になったつもりになって、事件を紐解いていく感覚になります。
この構成はより物語に読者を没入させる効果のように感じますが、もう一つ、重要な役割を担います。
この【仮面の男】という視点は、事件を推理する上では実はミスリードです。
物語を読み進めていくうちに、現在の文章は【仮面の男】という一人称視点、
過去の文章は誰でもない、三人称視点で書かれていることが分かってきます。
現在と過去で物語を語る人物が異なるということはつまり、
「【仮面の男】の中身はもしかしたら入れ変わっているのかもしれない」
と読者に推理させられるような仕掛けになっています。
これはいわゆる叙述トリックとされる手法ですね。
前作『十角館の殺人』もそうですが、著者である綾辻行人さんは、古典的なミステリの手法を現代風の文学に落とし込み、読者に読ませるのがとても得意な作家さんだと思います。
”館シリーズ”はまだまだ続くので、次の『迷路館の殺人』も楽しみです!
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