【要約】『クラシック音楽全史』 -クラシック音楽史を年表で解説。時代の変遷、代表的な音楽家まで

松田亜有子・著


言葉を超えた音楽こそ、世界共通のビジネスツールに!

勤勉さを武器に転職し、国内でステップアップしたバッハ
命がけだった馬車の長旅で大成したモーツァルト
フロイトとウィーン大学で同時代に学んだマーラーなど……
音楽家の人生と名曲の背景から、歴史がわかる! 会話が弾む!

◇紀元前から21世紀の日本まで、クラシック音楽の流れがざっくりわかる1冊◇

(ダイヤモンド社より)

書評



クラシックに多く触れる機会があったので、ざっくりと音楽知識を学ぶために西洋音楽史をまとめた。

参考図書は『クラシック音楽全史』松田亜有子・著

本書は、クラシック音楽を楽しむために知っておくと良い知識音楽の発展の歴史その時代背景作曲家の功績等十分に学べた。

音楽史の入門書としておすすめできる。





下記に本書から学んだ内容(+個人的な知識)を年表にした。

また、備忘録として簡単なメモも。



クラシックの歴史

古代:音楽の起源

音楽は、自然の音から着想を得て、言語の持つ音韻から派生して生まれてきた。

音楽の起源としては、最古の文明:メソポタミア文明まで遡る。その遺跡からはハープや笛、太鼓等を奏でる人々の姿のレリーフが残されている。 

紀元前520年頃、ピタゴラスによって初の音楽理論が提唱される。これには現代まで繋がる「ドレミファソラシド」の発明が描かれていた。

  • 紀元前3000頃
    メソポタミア文明の繁栄

  • 紀元前520
    ピタゴラスの音楽理論「ピタゴラス音律」


    "宇宙が音楽を奏でており、それがこの世の調和をもたらしている"

  • 392年
    キリスト教がローマ帝国の国教となる
中世:キリスト教音楽の時代

キリスト教の繁栄から、中世は聖歌を主とする教会音楽が発展した。

この時期の音楽的特徴としては、2つの音楽形態から成る。

そして、モノフォニーの形態で制作されたグレゴリオ聖歌』が最古のクラシック音楽とされている。

また、この時期には〈ネウマ譜〉と呼ばれる最古の楽譜も発見されている。

しかし現在の楽譜とは異なり、4線で音符が四角い形をしていた。

  • 750年
    『グレゴリオ聖歌』の誕生

  • 900年
    現存する最古の楽譜〈ネウマ譜〉
  • 1150-
    1230年
    グレゴリオ聖歌の派生

    グレゴリオ聖歌は当初モノフォニー形式だったが、ノートルダム楽派が活躍した時代にポリフォニー形式へと派生した。それらを「オルガヌム」と云う

ルネサンス音楽:声楽の発展

ルネサンス期は特に声楽が発展した時代である。

中世からの教会音楽は引継ぎ、声楽ポリフォニーは最盛期を迎える。

ルターによる宗教改革が始まり、同時期に活版印刷も開発されたことから、神への祈りとしての音楽は民衆に広く認知され、教会音楽は確立された。

また、当時芸術先進国だったイタリアのフィレンツェでは、オペラが誕生した。

  • 1450年
    ポリフォニー最盛期

    当時の最大の楽派であるフランドル楽派により、ポリフォニーが多く制作された。

  • 1450年
    活版印刷の始まりにより、楽譜複製が容易になる
  • 1517
    ルターによる宗教改革

    宗教改革により「コーラル」という新たな教会音楽が誕生する。

  • 1598
    最古のオペラ『ダフネ』上演
バロック音楽:クラシックの始まり

「クラシック音楽」の始まりの時代。

ルネサンス期まで《神への祈り》であった音楽は、王侯貴族の為の優雅な宮廷舞踊音楽へと変貌する。

そして新たな音楽形態として、ホモフォニー形式も生まれた。ホモフォニーは現代の音楽でも多く使用されている形式だ。

バロックではピアノやヴァイオリン等弦楽器を中心とした器楽が発達し、オーケストラが誕生した。

また、この時期に拍子や長短調の概念、対位法等の技法が生まれ、「音楽の父・バッハ」によって音楽の基礎が取り纏められる。

また、多様なオペラが大流行したのもこの時代である。イタリア式序曲(シンフォニア)をはじめ、正歌劇、喜歌劇、フランスオペラ『叙情悲劇』等。

  • 1600年頃
    ホモフォニーの発展
  • 17世紀後半-
    18世紀初頭
    イタリア式序曲の確立

    イタリア式序曲という器楽曲形式が確立されることで、オペラ(歌劇)が形式的に整えられた。

  • 18世紀半ば
    オーケストラの成立

    オペラの誕生はオーケストラの成立を促した。

  • バッハにより音楽の基礎が取り纏められる

J.S.バッハ:《G線上のアリア》《主よ、人の望みの喜びよ》

ヘンデル:《水上の音楽》《メサイア》

古典派音楽:啓蒙思想と音楽

古典音楽は「音楽とは」が見直された時代である。

最も顕著なのは、音楽の形式美合理性を重要視している面だ。

科学の発展や思想の変化により人々は啓蒙思想を持ち始め、音楽にも理知的表現を含ませるのが良しとされていた。

古典派音楽を最も特徴づける形式は「ソナタ形式」。

また、音楽の価値の変化も目まぐるしい。

フランス革命やイギリスの産業革命等、欧州情勢の変化により王侯貴族の力が弱まり、音楽は民衆の娯楽、また芸術として評価されるようになった。

今まで貴族に召し仕えていた音楽家は、フリーの芸術家として活動を始めた。

  • 1762
    グルックの歌劇改革

    歌手の技巧を表現する歌劇から、演劇性を生かしてそれに相応しい音楽を付ける手法へ変化。

  • 18世紀半ば
    交響曲の成立

    世界最高峰のオーケストラを持つマンハイム楽派により成立。マンハイムのオーケストラはその他強弱法、エコー等、当時のオーケストラの技術を向上させた。

  • 器楽の発展
  • 1781
    ソナタ形式の確立
  • 1789
    フランス革命

  • 1733-1840
    第一次産業革命

  • ラベル
    音楽の価値の変化

ハイドン:《ネルソン・ミサ》《交響曲第94番『驚愕』》

モーツァルト:《レクイエム》《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》

ベートーベン:《歓喜の歌》《交響曲第3番『英雄』》

ロマン派音楽:自己の表現としての音楽

ロマン音楽になると、今までの形式的な音楽から脱却し、自己の感情の表出、文学等から影響を受けた芸術至上主義日常からの離脱を特徴とした音楽が主流となる。

特に、曲にタイトルを付ける「標題音楽」が発展したのもこの時代だ。

また、産業革命により楽器が一般家庭に普及したことによって、大衆にとって音楽は身近な存在になった。

  • 1830
    標題音楽論争

    テーマ性の強い標題音楽はロマン派において流行したが、すぐに受け入れられたわけではない。ベルリオーズ「幻想交響曲第一楽章『夢、情熱』」が最初の標題音楽であったが、当時物議をかもし、反対派閥を作り出す。それが「絶対音楽」絶対音楽とは、音楽とはその他の文学的、絵画的、哲学的内容を表現するのではなく、純粋に音楽そのもので自己完結するべきだ、という主張だ。その後も標題音楽を突き詰めたワーグナー派と、絶対音楽の頂点ブラームス派(新古典派)の議論は続く。

  • 1848
    諸国民の春

ワーグナー:《ワルキューレ》《神々の黄昏》

ショパン:《幻想ポロネーズ》《革命のエチュード》

国民楽派の登場:音楽は民族主義へ

ロマン主義で自由な表現が許されたことで、作曲家自身の出身の民族的な音楽、地域の文化を音楽に取り入れた曲を制作する派閥が登場した。それが、「国民楽派」だ。

主にそれはスラブ系民族の間に起こり、東ヨーロッパ、北ヨーロッパ諸国、イベリア半島等に次第に広がっていく。

  • 1850
    国民楽派の登場

ドヴォルザーク:《弦楽セレナーデ》《スラヴ舞曲》

現代音楽:自由な音楽

現代音楽は一貫した風潮は見られず、はっきりとした定義が難しい。

強いて言うなら難解で個性的な作風の音楽が多く、無調音楽への傾倒と不協和音の多用が見られる。

  • 1913
    『春の祭典』

    発表当時音楽界を騒然とさせ、音楽の在り方や舞台と音楽の関わりに一石を投じた。『春の祭典』が映画音楽や各方面の芸術に与えた影響は計り知れない。

ストラヴィンスキー:《春の祭典》《火の鳥》

まとめ



クラシックを学ぶと、実際に聴いた時の解像度が上がるだけでなく、世界共通の言語として社交の場でも大いに役に立つ。

本書はクラシック史の全体をさらったものなので、今後詳細な勉強をする際の、年表の代わりにもなるだろう。

「クラシックに興味があるけどどこから学べばいいのか分からない」

「よく聞く音楽の作曲家について、纏められた本が欲しい」

そんな思いを抱く方に是非。


著者紹介

著者である松田亜有子(まつだ・あゆこ)さんについて、

アーモンド株式会社代表取締役。元東京フィルハーモニー交響楽団広報渉外部部長。活水女子大学音楽学部ピアノ・オルガン学科を首席で卒業後、長岡市芸術文化振興財団、東京フィルで企画・広報を担当。日本郵政株式会社、株式会社経営共創基盤(IGPI)を経て、2013年に東京フィルに復帰。「創立100周年記念ワールドツアー」「日韓国交正常化50周年記念公演」「日中国交正常化45周年記念公演」などで、広報渉外統括責任者として世界各地への広報や、主催者・協賛者との交渉を務める。2018年に独立し、現任。IGPI顧問(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(『クラシック音楽全史 ビジネスに効く世界の教養』より)



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