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【書評】『あなたが誰かを殺した』 -愛する家族が奪われたのは偶然か、必然か | PLANETFORM

【書評】『あなたが誰かを殺した』 -愛する家族が奪われたのは偶然か、必然か

東野圭吾・著


★★★久しぶりにミステリを読みませんか?★★★

日本有数のセレブが集まる、夏の別荘地の悲劇の一夜。

5軒が集まるそこで、連続殺人事件が起きたのだ。

逮捕されたのはセレブたちと何の縁もない男。

一体なぜ、自分たちの家族が殺されなければならなかったのか。

残された人々は真相を知るため、あるホテルで「検証会」を開く。

そこに現れたのは、長期休暇中の刑事・加賀恭一郎。

私たちを待ち受けていたのは、想像もしない運命だった。

(講談社より)

書評


今作は東野圭吾による”加賀恭一郎シリーズ”第12作目。




殺人の舞台は別荘地

別荘を所有するセレブたちによるパーティが行われたその晩、

連続殺人事件が起きる。


転じて舞台は別荘地近くのクラシックホテル。

レストランで優雅に食事をとる若い男性は、自らを別荘地の連続殺人犯だと名乗った。

しかし彼は、事件の詳細は語らず、黙秘を貫く。


この殺人は無差別なのか、それともセレブ達に対する怨恨なのか。


不甲斐ない警察の捜査に納得が出来ない被害者家族たちは、

独自に事件の真相を解明するため、『検証会』を開く。

刑事・加賀恭一郎は、ふとしたきっかけで被害者家族の一人と知り合い、『検証会』に探偵役として参加することとなった。

犯人が最後に現れたクラシックホテルの会議室で、事件の全貌は紐解かれてゆく。




※以下考察・感想。内容についてネタバレを含んでいます。未読の方はご注意下さい。






物語の大半を占める推理劇

『あなたが誰かを殺した』の特に面白い点は、その構成・構図にある。

本書は、大半が推理劇(『検証会』)で構成されている。

最序盤で連続殺人も、犯人の確保もさらっと済んでいて、

本題は何故その殺人が行われたのかを被害者家族と加賀恭一郎によって追求していく物語、といってもいいだろう。

また、狭い空間で被害者たちによって語られる内容には、時に保身の為の嘘が混じり、上流階級による仄めかしも多々含まれる。

加賀はそれらの情報を優れた洞察力で丁寧に引き出し、推理する。

その構図は、かつてのミステリ黄金時代、

優雅な邸宅の一室に登場人物たち一同が集い、その中心で【灰色の脳細胞】エルキュ-ル=ポアロが髭を撫でながら推理を披露する姿を彷彿とさせる。

本の帯に、「黄金時代、本格ミステリを読んでいるようだ」といったコメントがあったがまさにその通り、

推理に重きをおいたその構成と、一室に関係者をおいて華麗な推理を披露するその様は、黄金時代のミステリ小説のようだった。


上流階級の人々による怨恨渦巻く心模様


この物語に登場する被害者たちは、皆日本における比較的上流階級の人々だ。

表向きは皆優雅に親しみを持って接しているのだが、

その内情は、お互いの弱みを握る為、上品な語らいの中常に秘密を探り合っている

『検証会』では、事件の推理と共に、高貴な方々の秘めた裏の顔が次々と明らかになっていく。

真犯人(共犯者)が誰か分からない中で、畳みかけるように親しくしていた人々の裏の顔が明らかになり、人間不信に陥っていく様子が鮮やかに描かれる、とてもグロテスクな『検証会』であった。

物語の結末では、誰のことも信じられなくなるだろう。




東野圭吾の文章は本当に描写が詳細で、文章をなぞる度にそのシーンが映像となり浮かび上がってくる。まるで映画を見ているかのようだ。さすがの表現力。

物語自体も、本書はまあまあぶ厚い本なのだが、要所要所で読者をあっと驚かせる情報がしっかりと開示されていき、最後まで飽きずに読み切ることが出来た。

満足いくミステリだった。

ここ10年の東野作品の中で間違いなく最高傑作と評される本書、気になる方は是非。


著者紹介

著者である東野圭吾(ひがしの・けいご)さんについて、

1958年大阪府出身。1985年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。1999年『秘密』で日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』で直木賞、本格ミステリ大賞、2008年『流星の絆』で新風賞、2009年『新参者』でこのミステリーがすごい!、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で吉川英治文学賞、2016年『危険なビーナス』でミヤボン2016、2019年『恋のゴンドラ』でミヤボン2019、『沈黙のパレード』でミヤボン2021、2023年その華々しい経歴から第71回菊池寛賞を受賞。

作風としては、多彩なジャンルを論理的に分かりやすい情景描写で書き、エンターテインメント性の高い展開、さらには人物の微細な心情描写も秀逸なことで評価されている。



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