【感想】『西の善き魔女③薔薇の名前』 -光輝く宮殿、ハイラグリオンへ

萩原規子・著


幼なじみルーンと自分の身を守るため、フィリエルは女王候補アデイルと共に王宮へ上がる。光輝く宮殿に渦巻くのは、派閥のかけひき、冷酷な謀りごと。持ち前の勇気と伯爵家の協力で、フィリエルは王宮の光あたる場所を得ようと奮闘するが、ルーンは彼女に背を向けて闇へと姿を消してしまう——胸躍る長篇ファンタジー、波乱の第三巻。

(中央公論新社より)

感想



フィリエルは自分の居場所を求め、王宮(ハイラグリオン)へ向かう。

第二巻の女学校編から一転、ついに女王候補たちの戦いが始まる。

また、一巻からずっと仄めかされてきたの存在、の宮殿と対照的に隠されたの世界が顔を覗かせる。







フィリエルとルーンは、どちらも相手を守るために自らの信じる道を進もうとする

それが時にはすれ違い、諍いになっても、それでもお互いを大切に想い行動する。

第三巻ではそれが決定打になり別れを選択してしまうのがとても切ない。


第三巻はレアンドラの存在も鍵だ。

第一巻ではアデイルと同じ女王候補という名前だけ、第二巻では女学校の謎のシスター・レインとして、第三巻では遂にその艶めいた魅力が姿を現す。

レアンドラは、対立候補アデイルとあらゆる意味で対照的に描かれている。

華やかであらゆる人(特に男性)を引き付ける鮮烈な容貌、自信家で好戦的、自らが欲しいものは全て手に入れる。しかしただ嫌な女風に描かれている訳ではなく、何故かそれも魅力の内と感じるように、美しく見える異次元さがある。

レアンドラの魅力は、あのルーンでさえ絆されそうになる程だ。



物語はただひたすらにルーンが闇に堕ち、フィリエルがそんなルーンを追いかける構図。

読者もフィリエルと同様にずっとルーンに心をかき乱されている。

次作第四巻は、闇に消えたルーンを追いかけ(物語的には竜退治に)、ユーシスや再登場イグレインと共に危険な南の地に。

楽しみ!


著者紹介

著者である萩原規子(おぎわら・のりこ)さんについて、

1959年東京都出身。『空色勾玉』でデビュー。2006年『風神秘抄』で小学館児童出版文化賞、産経児童出版文化賞(JR賞)、日本児童文学者協会賞受賞。その他の小説に、『RDGレッドデータガール』シリーズ『あまねく神竜住まう国』『荻原規子の源氏物語』完訳シリーズ等、多数の著書がある。

作風としては、ファンタジー色の強い児童文学を多く執筆している。

『西の善き魔女』は、月刊コミックブレイドにてコミカライズ、2006年にはアニメ化されている。



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