【感想】『西の善き魔女⑤銀の鳥 プラチナの鳥』 -敬虔な乙女たちのアラビアン・ナイト

萩原規子・著


「西の善き魔女の名において、ブリギオンの侵攻を止めた者をこの国の女王に」女王選びの課題を受けた十六歳のアデイルは、東の帝国ブリギオンの狙いを探るため、親友と共に隣国トルバートに向かう。侍女に変装し、砂漠の向こう、オアシスの街へ。異国の王宮で異教徒の巷で、アデイルを待ち受ける危険な罠とは―!?長篇ファンタジー東方冒険篇。ノベルス版「外伝2」を改題。

(中央公論新社より)

感想



極彩色に彩られた衣服、鼻に香るスパイスの香り、異国情緒溢れる街並み。

次期女王候補アデイルと、トーラス女学院文芸部長兼傍系王族であるヴィンセントは、東の帝国ブリギオンの侵略の狙いを探る為隣国トルバートに居た。

そこで出会うのは女王制反対論者や国家転覆を狙う者。

アデイルたちは国家同士の諍いに巻き込まれていく――。




本作は外伝で、主人公フィリエルもルーンも登場しないが、この第五巻、個人的に一番面白かったかもしれない。

アデイル主役のしっかりとした冒険ファンタジー。
命狙われる危機の中、しかし恋愛要素も欠かせない。アデイルはルーンに似たティガという傭兵の少年と出会い中を深めていく。アデイルの立場上結ばれる未来は来ないと思うが、アデイルとユーシスの既定路線よりお似合いだった。

傭兵団を味方につけてからのアデイルは王宮内でお人形さんしている時よりよほど生き生きとしていて、もう女王争いを投げ打ってでもエゼレット(傭兵団)に加入して欲しいくらい。しかしそこで使命を忘れない真っ直ぐなアデイルがまた魅力的なんだな…。

アデイルはずっと魅力的なキャラクターだったが、今回の物語でより輝いた。

ヴィンセントの再登場も嬉しい。

守られる可憐なお姫様と賢く凛々しいお姫様。二人の見えない本音が確固たる意志に変わる過程が良かった。


次巻は遂に本編最終巻。恐らく蛇の杖潜入編と竜退治の結末、東の帝国の侵略軍と女王候補の行方と盛り沢山で楽しみ。次巻へ!

それにしてもユーシス…。れっきとした王子様なのに、フィリエルにもルーンにもアデイルにも相手してもらえなくなって切ない…。(いや、まだレアンドラがいるか?)

著者紹介

著者である萩原規子(おぎわら・のりこ)さんについて、

1959年東京都出身。『空色勾玉』でデビュー。2006年『風神秘抄』で小学館児童出版文化賞、産経児童出版文化賞(JR賞)、日本児童文学者協会賞受賞。その他の小説に、『RDGレッドデータガール』シリーズ『あまねく神竜住まう国』『荻原規子の源氏物語』完訳シリーズ等、多数の著書がある。

作風としては、ファンタジー色の強い児童文学を多く執筆している。

『西の善き魔女』は、月刊コミックブレイドにてコミカライズ、2006年にはアニメ化されている。



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