【感想】『西の善き魔女①セラフィールドの少女』 -夜空に輝く星、最果ての塔の天文台で

萩原規子・著


舞踏会の日に渡された、亡き母の首飾り。その青い宝石は少女を女王の後継争いのまっただ中へと放り込む。自分の出征の謎に戸惑いながら父の待つ荒野の天文台に戻った彼女を、さらなる衝撃が襲う。

――突然の変転にもくじけず自分の力で未来を切りひらく少女フィリエルの冒険がはじまった。胸躍る長編ファンタジー、堂々開幕。

(中央公論新社より)

感想



この物語は王道ファンタジーだ。
夜空に煌めく星や月を背景に、少女フィリエルの冒険譚が描かれる。

初めての舞踏会、まるでシンデレラかのような水色のガウンを着て、憧れの王子様とのダンスを楽しむ、転じて巻き込まれる女王の後継者争い、そして明かされる、平凡な田舎の少女が王家の血を引いているという心躍る設定。辺境の塔で行われる禁忌の研究。

物語に紡がれる全てが乙女心くすぐる。



※以下感想。内容についてネタバレを含んでいます。未読の方はご注意下さい。




初めてこの物語を読んだのは中学か高校の時だったが、改めて読み返したくなった為再購入。

そして、今再読しても思う。この物語においてルーンという存在は素晴らしい。

当時多くの少女をときめかせたのではないだろうか。かく言う私もその一人。


『西の善き魔女』は、王道ファンタジーを思わせるその世界観が魅力だが、それを引き立てる登場人物たちの人物描写の豊かさが本当に見事だ。

かの『赤毛のアン』を思わせる天真爛漫で空想が好きな主人公フィリエルの成長を追いながら、

そんなフィリエルを一途に愛しつつも、禁忌と呼ばれる研究を未来のために守るルーン、

アデイルも良い。女王候補の一人であり、儚げで可愛らしい深層の御令嬢、かと思いきや、中身は親友の為なら強い意志を持ち何でもこなす心強い人物。

その他にも魅力的なキャラクターが多く登場し、その個性が物語を形作っている


一巻はまだ導入も導入なので物語のほんの始まり、といった具合だが、

今後の物語の壮大さが伝わってくる序章となっていた。


著者紹介

著者である萩原規子(おぎわら・のりこ)さんについて、

1959年東京都出身。『空色勾玉』でデビュー。2006年『風神秘抄』で小学館児童出版文化賞、産経児童出版文化賞(JR賞)、日本児童文学者協会賞受賞。その他の小説に、『RDGレッドデータガール』シリーズ『あまねく神竜住まう国』『荻原規子の源氏物語』完訳シリーズ等、多数の著書がある。

作風としては、ファンタジー色の強い児童文学を多く執筆している。

『西の善き魔女』は、月刊コミックブレイドにてコミカライズ、2006年にはアニメ化されている。



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